コラム

認知症になっても困らないよう、今できること

 

2021年の日本人の平均寿命は女性が87.57歳、男性が81.47歳でともに10年ぶりに前年を下回りました。

新型コロナウイルス感染による死亡者の増加が影響したようです。

 

2025年には団塊世代全員が後期高齢者となる75歳以上になります。

日本はこれまで世界のどの国も経験したことのない超高齢社会となり、程度の差はありますが、認知症の方も増える懸念があります。

認知症の高齢者は2025年には730万人と、高齢者の5人に1人の割合になると推計されています。第一生命経済研究所の試算では、認知症の人が保有する金融資産は2020年度に160兆円です。2030年度には215兆円に達し、家計金融資産の1割を占める見通しです。

 

現在、預金の引き出しは本人の意思確認ができなければ成年後見制度に基づく法定代理人が引き出せますが手続きの煩雑さや、管理する財産の額に応じて月額数万円の費用負担が生じることもあるため、利用は2020年末時点で、35万人にすぎません。

 

全国銀行協会が、2021年2月に成年後見制度の利用を基本としつつも、本人の利益に適合することが明らかな場合にかぎり、代理権のない親族による引き出しを認めるとしました。面談や診断書、担当医の見解などで本人の認知機能が低下していることえお確認した上で、引き出しに応じます。

また、銀行協会では窓口で対応にあたる行員が認知症に関する知識を深め、一人ひとりの状況に合わせた対応ができるような取り組みも広がっています。

生保各社は、事前に代理人を登録する「指定代理請求特約」の利用を呼びかけ、代理人が保険金の請求手続きができるようにします。


いざというとき、困ったときの相談先がありますか?

 

地域包括支援センターにご相談ください。

 

・介護予防に関する情報が知りたい

・今の暮らしを続けていけるのか心配

・高齢者が利用できるサービスについて知りたい

・財産管理に自信がなくなってきた

・虐待を受けているかも     

など、まずはお住まいの地域の地域包括支援センターへお電話でご相談ください。

 

今後、いわゆる団塊の世代が75歳以上となる令和7(2025)年、いわゆる団塊ジュニア世代が65歳以上となる令和22(2040))年にかけて、さらに高齢化がすすむことが見込まれます。

川越市の高齢化率も令和7(2025)年に27.4%、令和22(2040)年には32.3%に達する見込みです。

 

特に、介護ニーズの高い85歳以上の高齢者が増え続け、高齢者人口の増加に伴い、要介護(要支援)認定者数の増加が見込まれますが、支える側の人口は減り続け、介護の担い手の確保は難しくなっていくと考えられます。

 

年齢を重ねても、安心して笑顔で自分らしく暮らし続けられるまちにするためには、行政のほかに保健・医療・福祉などの各種団体、そして地域の皆さんが協力して地域を支えていくことが大切です。

                    (川越市福祉部地域包括ケア推進課より抜粋)


遺留分制度の見直し

2019年7月1日以降の相続から遺留分を行使した場合に侵害された分は金銭でもらえることになりました。今までは不動産が共有状態となり後々面倒なこともありましたが、お金で請求することになりました。


遺言執行者の権限の明確化

①遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務があり、遺言執行者がその権限内においてした行為は相続人に対して直接にその効力を生じます。

 

②遺言執行者がある場合は、特定遺贈と包括遺贈と関係なく遺贈の行為は遺言執行者のみが行うことができます。

 

③特定財産承継遺言 いわゆる相続させる旨の遺言がある場合、遺言執行者は原則として、対抗要件の具備に必要な行為をする権限や、預貯金の払い戻し・解約をする権限があります。


④遺言執行者は、他の法定代理人の場合と同様の要件で復任権があり、復任権を行使した場合は他の法定代理人と同様の責任を負います。


少し難しい言葉もありますが、2019年7月1日以降に作られた遺言書から遺言執行者としてできることがはっきりしたことになります。

※遺言執行者とは、相続財産を管理し、その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権限を持っています。遺言執行者は、未成年と破産者以外は誰でもなれます。

 


遺産分割前の払戻し制度

遺産分割前の払戻し制度とは、遺言書がなくて各相続人が、遺産になっている預貯金のうち、相続開始時の預貯金の額の3分の1に法定相続分をかけた額までただし150万円を上限とし、他の相続人の同意がなくても単独で払戻しをすることができる制度です。2019年7月1日が施行日ですが、施行日の前に開始した相続でも適用されます。


持戻し免除の意思表示

持戻し免除の意思表示とは、難しい言葉ですが結婚してから20年以上の夫婦のたとえばご主人が奥様に住んでいる家や土地をあげていた場合に、ご主人が亡くなって財産を分けるときに相続財産には入れなくてもいいことなりました。

これは遺された奥様の生活を考えてより多くの財産をもらえることになります。

ただし改正法は2019年7月1日から適用となるので施行日以降に行われた贈与等に適用されます。遺言書を書くときに奥様に遺贈すると書いておくか贈与しておきましょう。


自筆証書遺言の方式緩和

2019年1月13日から自筆の遺言書は財産目録について自筆でなくても良いことになりました。ただし平成31年1月13日以降になされた遺言でなければ摘要されません。それ以前に作られた自筆証書遺言はすべて自分の手で書かれたものでなければ無効となるので注意してくださいね。

 

 


美術品や宝飾品にも相続税はかかります

 

相続時には亡くなった方が持っていた高価な美術品や宝飾品も相続財産となるので勝手に処分したりすることはできません。

相続税は相続時の時価で計算しますが、実際に相続が起こるまでに財産の内容が変わったり価格も変動することがあります。

まずは、現時点でおよそどれくらいの相続財産があるのか把握してみましょう。

そして、相続税がかかるようであれば納税資金はどうするのかなどの対策を考えることです。

また定期的に財産の内容の見直しを行うことによりご自身のライフプランを考えてみましょう。


 相続した空き家のお得な制度

 

空き家問題は国も頭を悩ませています。

例えば、親が住んでいた家を相続したが誰も住む予定もなく、管理も大変です。

そこで、平成28年の税制改正で空き家を相続した場合、所得税が少なくなる制度が出来ました。

一定期間内に譲渡した場合に譲渡所得金額から、3000万円を控除できる制度です。

これを「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」といいます。

このお得な制度を使える条件とは

①1981年(昭和56年)より前に建てられた家

②亡くなった人が1人で住んでいた家

③亡くなった時から譲渡するまで、住んだり、貸したりしていないこと

④家を壊して土地だけにして売却すること

⑤売却額が1億円を超えないこと

⑥譲渡する期間は平成28年4月1日から平成31年12月31日までです

⑦亡くなった日から3年を過ぎた日の12月31までの間に譲渡したものです

 

平成25年1月2日以降に相続が発生したものが対象となります。

 

相続の発生が平成25年1月5日の場合、3年を経過するのが平成28年1月4日となり平成28年12月31日までに売却すればいいということです。

 

詳しいことは、かわばた福祉法務事務所へご相談下さいね。

 


相続放棄と相続分の放棄の違いは?

 

相続放棄相続分の放棄は同じようにみえますが、相続上の手続きでは大きな違いがあります。

 

相続放棄は、相続人としての一切の権利を放棄することです。

相続発生から3か月以内に家庭裁判所に相続放棄申述書を提出し、受理されると相続人としての地位を失います。

相続分の放棄は相続人の地位を失うわけではありません。個々の相続手続きで、自分の相続分を放棄することです。家庭裁判所に届ける必要はありません。

 

気をつけなければいけないのは、相続分の放棄は、もし被相続人に借金などがあれば、相続してしまいます。相続分の放棄をしても返済義務が生じます。

財産も負債も一切いらないのであれば、家庭裁判所で相続放棄の手続きをしましょう。

 


相続人が行方不明

 

一部の相続人が行方不明の場合、遺産分割協議が不可能となります。

この場合、①失踪宣告制度(民法第30条以下)

②不在者財産管理人制度(民法第25条以下)を考えることになります。

①失踪宣告制度は、行方不明者が死亡したものとして法的に扱います。行方不明者の相続人が遺産分割協議に参加し、手続きを進めることになります。

失踪の要件に関する諸資料を添え、家庭裁判所に失踪宣告審判の申し立てを行います。

②不在者財産管理人制度は、行方不明者に代わって不在者財産管理人が遺産分割協議に参加し、相続手続きを進めることになります。

実際に所在がわからないことを調査する必要があり、共同相続人その他の利害関係人が、その調査結果を添えて、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任申し立てを行うことになります。

また、不在者財産管理人は行方不明者の法定相続分を放棄することは許されません。

行方不明者がいる場合、柔軟な遺産分割協議は期待しにくく、被相続人は遺産分割の必要がないよう遺言書を作成しておくことが大切です。


介護の寄与分

 

財産を残して亡くなった人を被相続人

財産を受け取る人を相続人とよびます。

相続人の範囲や取り分は民法で決まっています。

 

寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加に貢献した人に与えられるプラスアルファの相続分です。

例えば、被相続人の事業をほとんど無給で手伝い盛り立てた。

仕事を辞めて介護に専念したため、高額な入院費の支払いを免れたなど。

 

寄与分の額は、相続人同士が話し合って決めます。

では、どんな事例で介護が寄与分として認められるのでしょうか。

大阪家裁の過去の判例をみてみましょう。

被相続人は父、相続人はこども4人、うち1人の息子が、父が亡くなるまでの3年間、3度の食事の世話や外出時の付き添い、排便の対応などを引き受けました。

家裁はこの息子に対し、1日あたり8000円程度、3年分で計876万円の寄与分を認める審判でした。

一方、他の家裁の審判では数年間、朝と夕方に親の家に通い、簡単な朝食を作ったり夕食を差し入れたりした、などという寄与分の主張が認められなかった例もあります。

また、法律上は寄与分が認められるのは相続人のみでしたが。

たとえば長男の嫁が義理の親を親身に介護をしても、遺産も寄与分も受け取る権利はありません。しかし2019年7月1日からは相続人以外の者の貢献も考慮されるようになりました。

 

相続が起きた後にもめないためにも、被相続人が元気なうちに財産をどう分けるのかよく考えて遺言書を書いておくことをお勧めいたします。

 

相続人以外の者の貢献を考慮(特別の寄与)2019年7月1日施行

相続人以外の親族、例えば長男の嫁が義父の療養看護を行った場合、一定の要件のもとで相続人に対して金銭の支払いを請求することができます。特別寄与料としての額は当事者間の協議で決めます。


生命保険を使った相続対策

 

子どもや孫への生前贈与資金を使った年金保険や終身保険の契約が増えています。

 

贈与税がかからない基礎控除(年間110万円)を使い

現金を毎年贈与し、子どもや孫がそのお金を使って保険に加入します。

満期を迎えたり、父母や祖父母が亡くなった時に保険金を受け取れます。

 

契約者と受取人は子どもや孫になります。

被保険者が父母や祖父母です。

 

この場合、税金は所得税となります。

 

(取得した保険金額-今まで支払った保険料-50万)×1/2 これが課税対象額です。


贈与と死因贈与

 

贈与は契約です。与えよう、いただきます、という当時者双方の意思表示の合致のよって効力が生じます。書面にする必要はありませんが、書面によらない贈与は取り消すことができるともされているので、贈与契約書を作っておくのがふつうです。

死因贈与も 贈与の一種ですが、私が死んだら与えよう、いただきます、という点、つまり権利移転の効力の発生時が契約時ではなく贈与者の死亡時だという点に違いがあります。死因贈与については遺贈に関する規定に従う、つまり相続法の規定が適用されるとしています。しかし、死因贈与は契約であるのに対して、遺贈は与える側の意思だけで効力が生じる単独行為なので、いわば2つの異なる原理が併存していることになり、困難な問題がでてきます。

 

死因贈与の問題点

事例 妻の死後、面倒をみてくれている長男から、この家と敷地だけでも俺のものになるようにしておいてくれ、それも贈与だと税金が高いから死因贈与にしておいてくれと言われた。遺言で長男に相続させるつもりだったが、長男のいうとおりにしたものかどうか悩んでいる。

 死亡によって効力が生じる点は遺言も死因贈与も同じですが、遺言は一定の厳格な方式に従って作成しなければ無効なのに対して、死因贈与には、形式がなく代理人によっても可能です。死因贈与の方が簡単にできるし、税金も相続税が適用されるので、ふつうの贈与より有利です。

それでは贈与者にとって死因贈与のほうが遺言より有利かというと、そうともいえません。遺言はいつでも取り消し可能だが、死因贈与が取り消せるかどうかについては議論があるからです。

最高裁は、原則として可能だが、特別な事情がある場合には取り消せないとしています。

遺言は自分の意思だけで決められる単独行為なのに対し、死因贈与は双方の約束によって成立する契約な ので、相手の立場を全く無視するわけにはいかないという考えが根底にあるようです。死因贈与後に相手の態度が手のひらを返すように変わったとか、同居も煩 わしいので、贈与した自宅を売って老人ホームに入りたいとか、様々な事情で取り消したいと思っても、相手が納得せず、裁判に持ち込まれたりすると、解決ま でに長い時間と費用が掛かるでしょう。残り少ない人生を裁判のストレスですり減らすようなことは避けたいいつでも取り消し自由という切り札を手にしておきたいと思ったら、死因贈与ではなく遺言にしたほうが無難です。

 


生前予約と生前契約

 

言葉は似ていますが内容は・・・・・

生前予約:予約の費用はあまりかからない。相談者が亡くなった後に遺族が依頼することで葬儀がおこなわれます。法的拘束力はないので、遺族が他の葬儀社に依頼しても問題はありません。

 

生前契約:葬儀のやり方を決めるのと同時に、葬儀費用の支払い方法まで決めて契約を結んでおくものです。契約のための費用が必要です。依頼者の希望を確実に実行できるので、葬儀を主宰してくれる親族が身近にいない場合にはいいでしょう。

葬儀社によっては、生前予約と生前契約をあいまいに使っているところもあります。各葬儀社で様々なので、事前に内容の変更や取り消しの条件など細かく確認しておきましよう。

 


結婚ってこんなにお得!

 

相続税や贈与税では配偶者にはいくつかのお得な特例があります。

まず贈与税の配偶者控除という制度があります。これは結婚して20年以上連れ添った夫婦に認められる制度で、自宅不動産または購入する資金のうち、2000万円までをタダ(非課税)で贈与できる制度です。

基礎控除の110万円と併せると2110万円までが非課税となります。(不動産取得税や登録免許税はかかります)

 

また、相続税には配偶者の税額軽減という制度があります。これは、配偶者が相続した財産のうち、1億6000万円または配偶者の法定相続分相当額(子どもがいる場合は相続財産の2分の1)まではタダ(非課税)で相続できる制度です。

 

 

 


相続税は親との同居で一発解消?

 

相続税では、親と同居をしている人に相続税が割引になる制度があります。それは「小規模宅地等の特例」という制度です。

 

親と同居していた人が自宅を相続した場合には、その家の土地の相続税評価額が、最大で8割引きになるというものです。

 

都心部では、親が住んでいた70坪の土地を評価してみたら1億円くらいというケースもあります。その場合、この制度を使えないと1億円の評価ですが、同居をしている等でこの制度を使えると2000万円の評価になります。その差はなんと8000万円です。

相続税の税率が30%だったとすると、2400万円の税額の差になるわけです。

 

日本では、遺産のうち評価額が大きいものは不動産です。この特例が使えるか否かで、相続税は大きく変わってくるでしょう。