自筆証書遺言

自分で書く遺言書を「自筆証書遺言」といいます。この場合守っていただくルールとして

 

①遺言書を書く人が財産目録以外、全文自分で書くこと

 ・遺言書の本文、作成年月日及び氏名は手書きです

 ・財産目録はパソコン等で作成しても構いませんが、各

  ページに署名押印が必要です(2019年1月13日より)

 ・ビデオ撮影、録音、電子メールもだめです

 ・遺言書は遺言する人、一人につき一通(夫婦でも別々に作成する)

 

②署名していること

 ・必ず署名してください、記名はだめです

 ・署名とは自分の手で書いた姓名のことです

 ・記名はワープロやスタンプで表記したもの

 ・署名は筆跡鑑定をすれば、本人確認の可能性が高い

 ・戸籍上の姓名をちゃんと書いてください

 

③遺言作成時の正確な日付を書くこと

 ・令和2年3月吉日など曖昧な表記はだめです

 

④印鑑を押印していること

 ・できるだけ実印を押すこと

 ・認印でもかまいませんが、実印の押印により証拠能力が高まります

 ・ただし、朱肉を使用する印鑑で押印、スタンプは不可

 

遺言書を書き終えた後は・・・

 

2020年7月10日から法務局に自筆証書遺言書の保管を申請することができます。

法務局で保管された自筆証書遺言は、家庭裁判所での検認手続きが不要です。

※法務局では形式が整っているかどうかのチェックのみで、遺言の内容についての質問、相談はできません。

 

保管の申請に必要なもの

 ・自筆証書遺言

 ・申請書

 ・添付書類(本籍の記載のある住民票等)

 ・本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証等)

 ・手数料(収入印紙3900円)

 

保管の申請手続き

 ・遺言書保管の申請をする際は、予約が必要となります

 ・手続きには必ず遺言者本人が法務局に行き、手続きを行います

 ・自筆証書遺言の方式について外形的な確認を行います

 ・遺言の内容についての相談はお受けできません

 ・遺言者は預けた遺言書の閲覧や保管の申請の撤回をすることができます

 

よくある質問

 ・保管の対象となる遺言書はどのようなものですか?

 自筆証書遺言のみです。また、遺言書は法務省令で定める様式に従って作成され、

 封のされていないものでなければなりません。見本、注意事項については法務省

 ームページを参考にしてください。

 

 ・遺言書のすべてをパソコンで作成できますか?

 遺言書の本文、作成年月日及び氏名は、手書きで作成しなければなりません。財産

 目録(不動産、預貯金等)はパソコンで作成しても構いませんが、各ページに署名

 押印が必要です。

 

 ・遺言書の保管等の費用は?

 遺言書の保管申請 1件につき3900円

 遺言書情報証明書の交付請求 1通につき1400円

 遺言書の閲覧請求 1回につき1700円

 遺言書保管事実証明書の交付請求 1通につき800円

 

法務局での保管をせず自宅において置く場合は

 

自筆証書遺言を封筒に入れなければならない決まりはありませんが、第三者による改ざん、変造などを防止するために、封筒に入れ封印することをお勧めします。押印は、遺言書の署名にしたものと同じものを使います。

 

丈夫で中身の見えない封筒に遺言書を入れます。

 

封筒の裏に「この封筒の開封・検認は家庭裁判所で行います。開封せずに、遅滞なく

家庭裁判所に提出してください」開封厳禁と書きます。

家庭裁判所で検認を受けてください(注1)

 

封筒の表には「遺言書」と書きます。

 

最後に遺言書に押印した印鑑と同じ印鑑で封印します。。

作成日(年月日)と遺言者の署名をして終了です

 

自宅の金庫などに保管するか、または信頼のおける人に保管場所を伝えておきましょう。

銀行の貸金庫に保管することはお勧めできません。

 

 

(注1)遺言書の検認とは?

 遺言書(公正証書遺言を除く)の保管者又はこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その検認を請求しな ければなりません。また、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会い上開封しなければならないことになっています。

検認とは、相続人に対して遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造、変造を防止するための手続きです。遺言の内容の有効、無効を判断する手続きではありません。